気紛れ日記

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管理人:竜胆 彩葉(りんどう さいは)


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地球のへそ Lv.25

勇者一行はランシールへやって来ると、森を抜けてまっすぐに神殿へと向かった。最後の鍵で扉を開けて先に進むと、神官が出迎えてくれた。
「良く来た、ソルよ!ここは勇気を試される神殿じゃ。たとえ一人でも闘う勇気がお前にはあるか?」
『はい』or『いいえ』
「いや、面倒事はごめんだ」
「なかなか、正直なやつ!立ち去るが良い」
「こらこらこら!何を言っているんだ!!一人でも戦場に立てるくせに!ここで頑張らなきゃ、いつ頑張るんだ!!!」
勇者のやる気のなさは今に始まった事ではない。だが、神官の余りの引き際の良さに、カイが慌てて間に入った。
「坊や、ここの裏技を知ってるか?」
ニヤリと笑う勇者に、カイは痛む頭を押さえた。
「……何も聞かなかった事にしてやるから、一人で行って来い。待っていてやるから」
「褒美は?」
「あげるよ。お前が泣いて喜ぶものをあげる。だから行って来い」
「……………」
カイの即答にソルが口を閉ざした。その疑いの眼差しに、カイは心外だとばかりにムッと眉根を寄せた。
「何だ、その目は?私が信じられないのか?」
「……いや…行って来る」
「うん、行ってらっしゃい」
勇者は再び神官に話しかけた。
「良く来た、ソルよ!ここは勇気を試される神殿じゃ。たとえ一人でも闘う勇気がお前にはあるか?」
『はい』or『いいえ』
「あぁ、任せろ」
「では、私について参れ!」
奥に歩いて行く神官を見送り、ソルはカイを振り返った。
「頑張って来いよ!」
満面の笑みで応援してくれる。ソルのヤル気が上がった。張り切って奥へ向かう。
「では、ゆけ!ソルよ!」
「クックック、ククククク……」
笑いながら歩いて行く勇者に不気味なものを感じつつ、神官はその背を見送ったのだった。
地球の中心にある事からその名が付けられた大洞窟、地球のへそ。ここでは冒険者達の勇気を試す過酷な試練が待っている。のだが、勇者は嬉々として洞窟の先を目指して歩いて行く。たった一人でも余裕の勇者は難無く地下三階に辿り着き、最深部目指して黙々と歩いた。すると、壁の銅像が突然目を光らせたと思うと、言葉を発した。
「引き返せ!引き返した方がいいぞ!引き返せ!」
前を通る度に忠告らしい事を吐かれ、
「うるせェ、黙ってろ!極上の褒美が待ってんだ!!それ以上のもんを寄越す気がねェくせに、ゴチャゴチャ言うんじゃねェ!!!」
銅像を叩き壊し、勇者が吼えた。洞窟内に響くその怒声に恐れ戦いたのか、魔物達の気配が遠ざかって行った。勇者、恐るべし。
最深部で見付けた宝箱にはブルーオーブが入っていた。ソルはブルーオーブを手に入れた。つまらなそうに鼻を鳴らしてオーブを道具袋の中に詰め込むと、迷宮脱出の呪文を唱えて洞窟の入り口まで戻り、急いでランシールに戻る。神殿に戻ると、カイと神官が出迎えてくれた。
「心配したぞ。でも、無事で良かった」
「これこれ、仲間内で騒がぬように。ともかく……よくぞ無事で戻った!どうだ?一人で淋しくはなかったか?」
『はい』or『いいえ』
「あぁ、別に…。一人で動く方が楽だからな」
「なるほど、根っからの一匹狼と言うわけか。野暮な事を聞いてすまなかった。では、お前は勇敢だったか?いや…それはお前が一番良く知っているだろう。さあ、ゆくがよい」
即座に踵を返して歩き出す勇者に、カイは慌てて神官に頭を下げると、その場を後にした。神殿の扉を潜り、森に差し掛かった所で勇者が足を止めた。
「…」
「ソル、どうかした……」
カイは言葉を言い切る事が出来なかった。ソルに腕を掴まれたと思うと同時に引き寄せられたのだ。その際、ソルは巧みに立ち位置を入れ替え、カイの逃げ道を木で塞いだ。
「!ソ、ソル……ッ!!」
抗議の言葉も男の唇に塞がれてしまい、カイは必死にソルの腕の中でもがいた。暴れるカイを押さえ付けながら、ソルは唇を離して言った。
「暴れんな、褒美をくれるんだろうが」
「は、放せ!あげるから!!」
「?今貰ってんじゃねェか」
「……ッ!馬鹿ッ!!変態ッ!!!早く放せ、駄目勇者!!!!」
余りの言われようにソルは口を曲げたが、カイの言う褒美に興味を引かれた。そっと手を離すと、脱兎の如く腕の中を逃げ出し、安全圏まで遠ざかった。そんな姿に笑みを誘われつつ尋ねた。
「俺が泣いて喜ぶ褒美だって言ったな?何だ?」
「ふふ、そうだよ。はい、ご褒美」
微笑みながらカイがソルに袋を手渡した。
「………何だ、これは…?」
「何って、消え去り草だよ。前に道具屋で有りっ丈欲しいって言っていたじゃないか。さすがに買い占める訳にはいかないけれど、少しくらいなら買ってあげられるから」
カイの説明に、ソルは暫し沈黙した。消え去り草を見つめたまま動かなくなった男に、カイが怪訝そうに首を傾げた。
「ク……クク、ククククク、クックックック……」
ソルが肩を揺らして笑いだした。
「馬鹿がッ!!こんなもんの為に、わざわざオーブを取りに行った訳じゃねェぞ!!!」
「ば、馬鹿とは何だ!貴重な路銀を使って買ったんだぞ!!」
「ふざけんなッ!こんなもんより、テメェの身体を差し出しやがれ!!続きをヤらせろ!!!」
「馬鹿―――――ッ!!!そもそも、見返りを求める勇者があるかッ!!!そこに直れ、駄目勇者!!その曲がった根性を叩き直してやる!!!」
怒り心頭に発したカイの、会心の覚醒必殺技。閃光と共に雷鳴が轟いた。突然の落雷に驚いた村人が様子を見に行った森の奥で、焦げた勇者が発見されたとか、されなかったとか。
勇者と賢者の旅はまだまだ続く。


面白おかしく書いたつもりですが、前回のランシールでのやり取りを読んでいない方には意味が解りませんね……失敗。
でもまぁ、これくらいの事をしないと、駄目勇者は一人で動かないという所が表現出来たので、良しとします。
駄目勇者は相変わらずの駄目男ですが、クリアするまでこの調子で行くと思います(笑)

二人旅の執筆で、ある程度の気分転換は出来ているのですが、最近はそれ以上に自己嫌悪に陥っています…
愛車を飛ばして、海でも見に行こうかな…お山には良く登るけれど、海は見ていないので…
明日見に行こう。ちと遠いけれど…←あくまで見るのは綺麗な海。近場のヘドロ湾なんぞ見たくないやい(知っている人は知っている、ヘドロ湾/笑)
煮詰まった時に、違う風景を見たり、空気を吸うのはいい事ですよね。

さて、拍手して下さった方、有り難うございました。
元気出して頑張ります。

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