気紛れ日記

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管理人:竜胆 彩葉(りんどう さいは)


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幽霊船 Lv.28

勇者一行はロマリア湾内を彷徨う幽霊船を目の前に船を止めた。
「うわぁ…見るからに幽霊船だ…」
「幽霊船だからな」
「………」
船の周りに黒い霧が掛かっているのか、その姿がより不気味に見える。どんどん近付いてくる幽霊船に、カイの顔が強張った。
「何だ、怖いのか、坊や?」
「こ、怖くないですよ。ただ、苦手なのです」
「……ま、頑張んな」
引き攣るカイを置いて、先にソルが横に付けた幽霊船に乗り移った。
「くっ、神よ。これもあなたの与え給うた試練ですか」
薄情な勇者の後を追い、意を決してカイも幽霊船に乗り移ったのだった。怖いモンスターが出てくる訳でもなく、レベルも十分に高い。それほど苦労する事はないのだが、カイは波で木が軋む音にも過剰に反応していた。
「ビビリ過ぎだぜ、坊や。何も出やしねェ、怖がるな」
「ひ、人魂が……。それに、誰かがこっちを見てる」
「気のせいだ。気にするな」
「………うぅ」
ソルの後ろ髪を掴んでおっかなびっくり歩く姿は、とても勇者の右腕とは思えない。だが、―――
「ひひひっ…。幽霊船には屍が相応しかろう。お前も死ぬがいい!」
見つけたモンスターに話しかけると、強制的に戦闘に突入。ミニデーモンが一匹現れた。
「行きますよ!」
雷の杖を握り締めて、カイがその俊足を飛ばして先制攻撃を仕掛けた。亡霊は苦手だが、モンスターは平気らしい。苦笑を零しながらソルも武器を草薙の剣に持ち替え、地を蹴ったのだった。そうしてミニデーモンをやっつけて、船内をくまなく探していると、船尾で人を発見した。
「おや?あなたは亡霊ではなさそうだ。さてはあなたも財宝がお目当てですね?でも、この船にいるのは亡霊ばかり……参りましたよ」
「そうですね。こんな所、早く出るに限ります」
「おい、まだ下甲板を見てねェだろ。行くぞ」
「………ううぅ…はい」
まだ目当ての道具を手に入れていないのだ。カイは階段を降りて行くソルの後を渋々追った。下りた先の船尾で宝箱を見付けた。愛の思い出を手に入れた。
「さ、早く出ましょう」
「おいおい、まだ取ってねェ宝箱があるだろ。行くぞ」
「……こんな所の宝箱なんて…」
「サッサとしねェか、元盗賊」
宝探しのスペシャリストも亡霊は苦手なのだ。下の方が濃い霧が立ち込めカイの恐怖心を煽っている。宝箱を集めながら情報収集していると、オールを漕いでいる亡霊が、オリビアの恋人のエリックについて教えてくれた。
「おら人を殺しちまったでな。どんな死に方したって仕方ねぇって思うだよ。でも、そこにいたエリックって奴は無実の罪だったって…可哀想になぁ……」
前を見ると、身なりのいい青年が倒れている。この青年がエリックだ。
「オリビア…もう船が沈んでしまう…キミにはもう永遠に逢えなくなるんだね…。でも、僕は永遠に忘れないよ…キミとの愛の思い出を……せめてキミだけは…幸せに生きておくれ……」
息も絶え絶えの様子だ。介抱しようとしたカイだが、ある事に気が付いて足を止めた。
「………船が沈む…?この人って…いつの人ですか…?」
「坊や、何が言いたいのかは分かるが…落ち着け」
「もう既にし……」
「おら、出るぞ。付いて来い」
取るものは全て取った。もうここに用はない。今にも倒れそうなカイを引き摺り、ソルは階段を上がって足早に船に戻った。すると、我慢の限界だったのだろう。カイが倒れこんでしまった。
「やれやれ……ま、可愛げがあっていいがな…」
意識を手放したカイの額に口づけ、ソルは目を細めて笑った。


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遅くなりましたが by神原

PC版神流サイトが、昨日めでたく1万hitを突破致しました!!
これもひとえに皆様のおかげでございます。
本当に有難うございます!!(土下座)

大した更新もないのに、日々見て下さって
感謝の極みでございます…(涙)
これからもこんな調子になるとは思いますが(汗)
精一杯頑張って参りますので、応援宜しくお願いします~~


えっと…もし1万hit踏まれた方がいらっしゃいましたら、
相方は今カッツンカッツンで絶対に無理だと思うので(汗)
イラストで良ければリクエストにお応えしますので、
踏まれた方、もし何か希望がありましたら拍手なりメールフォームなり
ここのコメントなりにご一報下さいませ。

たらい回し。もとい、幽霊船までの道 Lv.28

ソルは変化の杖を持って、有りっ丈の貯金を下ろし、エルフの隠里へやってきた。
「え…、ちょっと、ソル待って…もしかして、全部使うつもりじゃ…ッ!?」
「あぁ、後々必要になるからな」
「そ…、そんなぁ…」
眠りの杖を購入してカイに手渡し、ソルは祈りの指輪を買えるだけ買った。
「合計15個か、十分だな。次に行くぞ」
「……こんなに祈りの指輪を買ってどうするんだ…」
コツコツとカイが溜めた貯金がすっからかんになってしまった。指輪を恨めしそうに見つめ、カイは軽くなった金入れに涙を流した。
「どうした、哀しそうな顔して…?」
「何でもありません。あなたは何も気にせず、前だけ見ていて下さい」
勇者の人の苦労も知らないような行動に、カイは俯いてトボトボと歩いた。ソルはやれやれと肩を竦めると、そんな彼と歩調を合わせた。
「坊や、この後はどこへ行く?」
「グリンラッドのお爺さんと変化の杖と船乗りの骨を交換する。海賊の家に向かってオーブを探す。幽霊船で愛の思い出を取って、オリビアの呪いを解く。祠の牢獄でガイアの剣を手に入れる。ネクロゴンドの火山へ行ってガイアの剣を投げ込む。道が出来たら、その奥の洞窟を抜ける。その先の祠でオーブを貰う。その後にレイアムランドでラーミアを復活させて、バラモス城へ向かう」
「……あぁ…まぁそうだが、そこまで詳しく言わなくていい」
「?何が知りたかったんだ??」
旅の計画をちゃんと立てている賢者の頭をポンポンと叩き、勇者は目を細めて笑った。
「つまり、今後金を使う場所がねェんだ。祈りの指輪は隠里にしか売ってねェ貴重品だから、買えるだけ買った。何度か使ったら壊れちまうからな」
「……あ」
「ボスの前には必ず使うだろ。戦闘中にどれだけ使うかも分からねェ。多めに持って行くに越した事はねェんだ」
「はい」
勇者の説明不足は今に始まった事ではないが、ようやくカイは納得して先を歩き出した勇者の後を追った。向かうはグリンラッドの老人の家だ。
「おお!それは変化の杖!わしも欲しかったのじゃ。ものは相談じゃが、この船乗りの骨と杖を取りかえっこせぬか?」
『はい』or『いいえ』
「あぁ、いいぜ」
「なんと、まことか!?何でも言ってみるものじゃ。では、船乗りの骨を渡そう!」
ソルは変化の杖を船乗りの骨と交換した!
「いやー、ありがたい!わっはっはっ」
「さてと、先に海賊の家に向かうぞ」
「はい」
二人はグリンラッドを北上して南へ抜けると、東の海岸沿いにある海賊の家へ向かった。夜にならなければ海賊達は帰って来ない。もぬけの空の家を漁ってから闇のランプを使った。そうして、歓迎してくれる海賊達を無視し、棟梁に挨拶しに行った。
「女のあたいが海賊のお頭なんておかしいかい?」
『はい』or『いいえ』
「フンッ、他人からどう見られているか気にするようなタマなら、そんな地位にいねェだろ」
「ずいぶんはっきりと言ってくれるじゃないの。でも、そこが気に入ったよ。ルザミの島を知ってるかい?ここから南に行ってちょいと西の方さ。あたいら以外であそこを知ってる奴はまぁいないだろうね。ところで、あんた魔王を倒す為に旅をしてるってホントかい?」
『はい』or『いいえ』
「あぁ、それがどうした?」
「そうか!ホントなんだね!それが実現するかどうかは分かんないけど……もし倒せた暁には是非また寄ってくれよな」
「ククク…あぁ、覚えていたらな」
軽く手を上げると、ソルは踵を返して歩き出した。そして、一人の海賊を見つけると、話しかけた。
「オーブを探してる?そう言えば昔盗んできたお宝の中にそれっぽいのが……どこへしまったんだっけ……」
つまり、探せという事だ。
「ここの宝は取り尽くしているはずだけど…?」
「外に隠し倉庫でもあるんだろ。行くぞ」
庭に出ると、不自然に置かれた石がある。動かして調べると、階段を発見した。地下倉庫には三つの宝箱が置いてあり、その中の一つにレッドオーブが入っていた。ソルはレッドオーブを手に入れた。
「よし、この次は幽霊船だな」
「ロマリアへ飛ぶぞ」
「はい」
素直に付いて来る賢者に訝しげな視線を投げつつ、ソルは移動呪文を唱えた。町には入らず、そのまま船に乗り込んで船乗りの骨を使うと、湾内を航行している幽霊船を指し示した。
「すぐ近くだな。さ、行こうか」
「…何も疑問に思わないのか?」
思わず訊いてしまった。何の説明もなく行き先を選んで進んで来たのだが、カイは一度も口を挟んでこなかったのだ。すると、カイはニッコリと笑って言った。
「行き先は分かっているのでしょう?迷子だけど…」
「迷子じゃねェ。行く順番が違うだけだ」
「それを迷子と言うのです」
「………そうか」
情報が少な過ぎてカイには旅の順序が立てられないのだ。何故か頭に色々と情報を買っている勇者に頼るしかないのである。迷子だが。
「幽霊船を攻略したら、後は早い。バラモスまで一直線だ」
「………本当ですか?」
「あぁ………多分な」
「それでも『多分』なのですか……」
迷子の迷子の勇者一行。次に目指すは湾内の幽霊船。


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サマンオサ Lv.?

溜まった路銀を銀行に預け、勇者一行はサマンオサのボスに挑む。夜には寝室で一人で寝ているという情報を手に入れ、闇のランプを灯して強制的に夜にした。
「便利な道具なんだけど、物理的に無理が……」
「それ以上言うな。暗黙の了解だ」
「…そうですか…」
全てを暗黙の了解で片付けてしまえる辺りが素晴らしい。勇者と賢者は夜の闇に紛れてマサンオサ城に向かった。裏口から台所へ入ると、兵士を見付けた。
「もぐもぐ……ぐっ!うっ、げほっげほっ!す、すまん。この事はどうか王様には……。このところちゃんとした食事を摂ってないんだ。だから、つい……」
よほど空腹なのか、兵士は見付かっても食料を手放そうとしなかった。そんな兵士の肩をポンポンと叩き、勇者は見逃してやった。
「兵に満足な食料を与えていないみたいだな…」
「あぁ」
「ソル、頑張ろうな」
気合を入れて王の寝室へと向かった。情報通り、一人で眠っている。
「誰じゃ、わしを起こすのは?むにゃむにゃ……。明日にせい。明日に……」
ソルはラーの鏡を覗き込んだ。なんと鏡には眠っている化け物の姿が映し出されている!それに気付いた王が飛び起きた。
「見~た~なあ?」
王の姿から一変し、モンスターになった。
「けけけけけっ!生きて帰すわけにいかぬぞえ」
ボストロールとの戦闘に突入。
二回攻撃が可能なボストロール。厄介なのはルカナンと痛恨の一撃の組み合わせだ。運が悪ければ、まともに攻撃を食らってしまう。だが、彼等の運は悪い。それは今に始まった事ではない。勇者がその一撃を食らって戦闘不能に陥ってしまった。カイはまだ蘇生呪文を覚えていない。つまり、後を追って死ぬしかなかった。
再チャレンジ!
何度スクルトを唱えても、ルカナンで一気に防御力を下げられる。その合間に余裕が出来ると、カイはソルにバイキルトを掛け、ボスにマホトーンを掛けてと、懸命に補助に回った。だが、―――
「呪文を封じ込められれば、何とかなるのに……っ!」
カイが悔しそうに唇を噛んだ。守備力を下げられた後の痛恨が痛いのだ。何度も呪文封じを掛けているのだが、封じ込める事が出来ないのである。焦るカイを尻目に、勇者は黙々と敵の体力を削っていた。だが、我慢にも限界と言うものがある。痛恨こそ食らわずにいたものの、ルカナンの後の一撃を食らい続けるのは痛い。回復もしなくてはならない、守備力も早く上げなくてはならない。時間が掛かれば掛かるほど、カイの負担がどんどん大きくなっていった。そうして、とうとう勇者の堪忍袋の緒が切れた。
「テメェ、いい加減にしやがれッ!!!」
勇者がマホトーンを唱えた。ボストロールの呪文を封じ込めた。カイが何度試みても封じられなかった呪文を、ただの一度で封じたのだ。
「な……何で…?」
「ボケッとすんな!!サッサと攻撃に移れッ!!!!」
驚いて動きを止めた賢者に怒号を飛ばし、勇者は剣を握り締めてボスに斬りかかって行った。攻撃力倍増の呪文のおかげでソルの攻撃力は2倍になっている。これで会心の一撃を繰り出せば深手を負わせる事が出来るだろうが、痛恨を食らわない事で運を使い切っているのだろうか。会心の一撃が出ない。
「バイキルトッ!」
体力を回復させた後、カイは自分にも攻撃力倍増の呪文を掛けて攻撃に移った。呪文を封じ込めたボストロールはただのトロールに毛の生えたようなものだ。攻撃に転じて数回ですんなりと倒す事が出来た。ボストロールをやっつけた!
「ぐげげげげ……お、おのれ……うぐあーっ!!」
ソルによってニセの王様は倒され、すぐさま本物の王様が助け出された……。そして夜が明けた!
寝室に宝箱が置かれていた。ソルは宝箱を開けた!なんと!変化の杖を見つけた!ソルは変化の杖を手に入れた。
「よし、これで先に進めるな」
「あぁ」
「ふふ。さぁ、王様に挨拶しに行こう」
階下に行くと、玉座に助け出された王が座っている。
「再びここに座れるとは思わなかった。心から礼を言うぞ、ソル!そなたらはわしの命の恩人じゃ。気を付けてゆくのだぞ!」
セーブを取ってもらい、勇者は踵を返して歩き出した。城を出ると、カイは地図を広げた。向かう先はグリンラッド。前回通りエジンベアから向かった方が早いだろう。そうして航路を練っていると、
「寄りたい所がある」
勇者が先を歩きだした。カイは地図をしまい、そんな勇者の後を追うのだった。


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サマンオサ南の洞窟 Lv.?

ソルのレベルは高い。ネクロゴンドの洞窟までは行けないが、幽霊船を攻略出来るレベルだ。つまりは、賢者とのレベルの差が大きい。という事である。だが、賢者のサポートがなければ、勇者は思う存分闘えない。洞窟内でせっせとレベル上げに励んだ。骸骨剣士のルカナン&攻撃は痛いが、元々勇者は呪文に掛かり難い。いや、オルテガの兜のおかげかも知れないが、それを言うと勇者の覇気が失せる為、黙っておこう。厄介な呪文を物ともせず、勇者は刃のブーメランを投げ付けた。だが、―――
「……どうして私ばっかりッ!!!」
カイが悲鳴を上げた。何故か、彼は骸骨剣士の集中攻撃を受け易いのだ。守備力減退呪文のおかげで、一撃が痛い。3匹出て来ると、最高6回の攻撃を耐えなくてはならないのだ。だが、それをまともに食らうと確実に戦闘不能に陥る。ソルにも分散して攻撃して来た為、何とか攻撃を耐える事が出来たが、カイは瀕死の状態だった。ソルが素早く動き、刃のブーメランで攻撃した。骸骨剣士達をやっつけた。
「どうも好かれてるみてェだな」
「馬鹿ッ!そんな問題じゃないだろう!!ッ…痛たたたぁ…」
「やれやれ……大丈夫か?」
座り込んでいるカイの傍に腰を下し、ソルはそっと柔らかい蜂蜜色の髪を撫でた。勇者はまだ中級の回復呪文を覚えていないのだ。だから、回復の手段は賢者に一任している。どれだけ彼が傷付いていても、ソルは低級の回復しかしてやれないのである。
「だ、大丈夫だよ…すぐに回復出来るから…」
心配そうな勇者に賢者は笑顔を見せると、呪文を唱えて体力を回復した。
「馬鹿が、ゾンビマスターに結構魔法力を奪われてんだ。無理をするな」
ポンポンと軽く頭を叩き、ソルはスッと立ち上がった。ゾンビマスターとはマホトラで魔法力を吸い取り、倒された魔物をザオラルで蘇らせる厄介なモンスターだ。そして、仲間も呼び寄せるのである。何度も遭遇すると、魔法力が底を尽いてしまう。その前に迷宮脱出の呪文で洞窟を出なければ危険だ。ある程度の余裕があれば、ついでにラーの鏡を取って行こうと思っていたソルだが、カイの状態を見る限り無理そうだ。
「一度外へ出る。行くぞ」
「ま、待ってくれ。大丈夫だよ、鏡を取りに行こう」
迷宮脱出の呪文を唱えようとした勇者を止め、賢者は立ち上がって階段の傍にポッカリと開いた穴を指差した。
「ここの宝箱は全て手に入れたから、後は鏡だけだ。下に飛び降りたらすぐに宝箱がある。今取って行ったら、もうここに戻って来なくてもいいんだぞ」
「………」
「私なら心配要らないよ、大丈夫」
余りいい顔をしない勇者に、賢者は笑みを浮かべた。カイは言い出したら聞かない。ソルはやれやれと肩を竦めた。
「ッたく、しゃあねェな……。油断するな。ヤバくなったら俺の判断でここを出る。その時は文句言うな」
「う、うんっ!有り難う、ソル!」
嬉しそうに笑った賢者につられ、勇者も目を細めて笑った。途端に顔を真っ赤にしたカイに、ソルは吹き出しそうになるのを必死に堪えた。堪えたが、肩の震えまでは止められなかった。
「わ、笑うなッ!」
「クックック……見惚れるのはいいが、殺られんじゃねェぞ」
「~~~~~~~ッ!!!!」
カイは悔しそうに逞しいその背中を叩いた。安全な町や村では駄目勇者っぷりの激しい男だが、モンスターが出る場所での勇者は男前なのだ。黙って立っていれば、女が寄って来るだろう。
「分かった、分かった。怒るな」
「怒ってない!!」
「ククク、鏡を取ってザコをぶちのめしに行くか」
「ザコじゃない!ボスだ!!」
顔を真っ赤にしながら肩を怒らせて歩く賢者を引き寄せ、
「注意力が散漫だぜ。…ま、今の坊やに言っても無駄だろうが、気を付けろ」
そっと彼の額に口づけると、ソルがニヤリと笑った。更に動揺して慌てる賢者を尻目に、ソルは肩を揺らしながら洞窟の奥へ向かった。そうしてラーの鏡を手に入れた勇者一行は、レベル上げを切り上げてサマンオサの町へ戻ったのだった。



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サマンオサ南の洞窟 Lv.26

貯金を下ろして向かった武器防具屋で装備を整え、勇者一行はサマンオサ城の南東の方向に位置する洞窟へやって来た。入り口を毒の沼地に囲まれ、中には深い霧が立ち込める不気味な洞窟だ。
「敵が強いぞ、ソル…」
「あぁ、気を付けろ」
サマンオサの町で買ったゾンビキラーをカイに手渡し、ソルは刃のブーメランを装備した。ここでの厄介な敵は二回攻撃をしてくる時もある骸骨剣士と、守備力減退の呪文を唱えてくるキラーアーマーだ。このモンスターが一緒に出てくると脅威なのである。どちらも攻撃力が高い上に、一方は素早く、もう一方は痛恨の一撃を出してくるのだ。油断していると、殺られる可能性がある。
「ちょ…ちょっと、どうして私ばっかり…ッ!?」
言っている矢先に、カイが戦闘不能に陥った。複数出てきた骸骨剣士がカイを集中攻撃して来たのだ。
「テメェ等、どこのどいつに手ェ出しやがったか、分かってんだろうなッ!!!」
名を名乗れと言わんばかりの剣幕で勇者が吼えた。戦闘において、弱い方を先に叩くのは上策だ。だが、今のソルの頭にはそんな細かい事など存在しなかった。カイが殺られた。目の前の敵を焼き尽くす理由など、それで十分だった。

何度でも挑戦。
「すまない、今度はもっと気を付けるから」
「あぁ、骸骨剣士のあの攻撃力は油断ならねェ。特に気を付けろ」
「はい」
油断せず、隙を見せず、B2まで辿り着いた。
「うわぁ、凄い!!宝箱が沢山ッ!!!」
「…………」
合計21個もの宝箱が転々と落ちている。嬉しそうに宝箱を開けていく元盗賊の賢者を尻目に、勇者は眉間に皴を寄せた。このパターンは、危ない。
「痛ぁ――――――――ッ!!!!」
響いたカイの悲鳴に、ソルは痛む頭を押さえた。やれやれと振り返ると、案の定、宝箱に手を咬まれたカイがいた。その瞬間、ソルは武器を草薙の剣に持ち替えて、即座に宝箱に斬りかかった。
「ミミックかッ!!!」
「え??な、何???」
「サッサと武器を構えろ!!厄介な呪文を唱えてくるぞ!!!」
「は、はいッ!!!」
ミミックとは二回攻撃が可能な上、ラリホー、メラミ、ザキ、マホトラなどの呪文を唱える宝箱の魔物である。
「くっ……魔法力が…!!」
魔法力を吸収して昇天呪文を連発してくるミミックに、カイの魔法力が底を尽いてしまった。その時、ミミックがザキを唱えた。カイが死んでしまった。
「―――――――ッ!!!!!」
声にならない絶叫を上げながら、ソルが草薙の剣を構えて走った。会心の一撃。ミミックをやっつけた!一人で経験値を獲得し、ソルは鋭く舌打ちした。
「魔法力は全てミミックに奪われちまってるってェのに……。悪ぃ、坊や。暫く我慢してくれ」
すぐに洞窟を出て生き返らせてやりたいが、呪文を使えないのだ。ソルはカイの棺桶を引き摺って、上階を目指して歩き出した。だが、―――
「クソッタレッ!!!」
こんな暴言を吐く勇者は、恐らくこの男だけだろう。魔物に囲まれ、ソルは舌打ちした。棺を引き摺ったまま全力疾走しているのだが、しつこい敵が回りこんでくる。そのことごとくをかわし、どうにか洞窟を抜け出した。外へ出てしまえばこちらのものだ。道具袋からキメラの翼を取り出し、放り投げた。


「レベルを上げたいです……」
「……そうだな」


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サマンオサ Lv.25

勇者一行はサマンオサの城下町にやって来た。
「大きくて綺麗な町なのに…何だろう?町の人に活気がない…」
カイは辺りを見回し、町の人の顔に笑顔がない事に気が付いた。ソルも何かを感じているのか、無言で視線を巡らせている。綺麗に整備されている石畳を進んだ先にあった墓地に人だかりが出来ていた。
「天にましますわれらが神よ。戦士ブレナンの冥福を祈りたまえ。アーメン……」
「葬儀が執り行われているみたいだな……それにしても、凄い墓の数だ…」
カイは素直に感想を述べた。ソルはそんな彼の言葉に小さく苦笑を零す。それだけ多くの命が絶たれているのだ。
「ねぇ、もう父ちゃんは帰って来ないの?どこかへ行ったの?」
「あんたあ~、何で死んだのよお~?うっ、うっ……」
「ブレナンよおー。お前はいいヤツだったのにな~」
「王様の悪口を言っただけで死刑だなんてあんまりですよ!これじゃおちおち商売も出来ませんよ!」
死を悼む親族や仲間内の言葉に耳を傾け、カイは口を閉ざした。サマンオサの王が心変わりしたとは、この地方の祠の協会の神父の言葉だ。カイが表情を引き締め、町の人に事情を聞いた。
「多くの人達が毎日牢に入れられたり、死刑になっているんです。昔はお優しい王様だったのに……」
そう詳しく教えてくれた女性は口を滑らせた事に怯え、足早に去って行ってしまった。
「百聞は一見に如かずだぜ、坊や。城に行くぞ。セーブも取りたいしな」
「……うん」
新しい町についてする事は、装備を揃える事とセーブを取る事だ。装備に関しては、銀行からお金を下ろさなくてはならない為、後回しだ。まずはセーブを取らなくてはならない。そうして表門から城に入った彼等を二人の衛兵が出迎えた。
「ここはサマンオサの城だ」
「王様に呼ばれて来たのか?」
『はい』or『いいえ』
「いや」
「では立ち去るがいい!用のない者を城の中へ入れる訳にはいかぬ!」
「へぇ……じゃあ、呼ばれて来た」
「嘘を吐くな!お前のようなヤツが来るなど知らされておらぬ!」
衛兵の的確な対応に、ソルは肩を竦めた。
「やれやれ…愚王に仕えるには惜しい兵士だな」
「ソル、ここは無理だよ。他に入り口がないか探そう」
まるで隙の無い衛兵に、表門からの入城を諦め、裏口に向かった。裏の勝手口には兵士が立っているが、扉を開けてくれている。
「町ではまた葬式が行われているようだな……」
沈痛な面持ちの兵士は、黙って二人の行動を見逃してくれた。裏口を入ると、そこは台所だった。
「ここはお城の台所。殿方の入って来る所ではありませんわ」
「邪魔をしないで下さい。食事が遅れると、私達死刑になってしまいますっ」
怯えた女中達が慌しく動き回っている。町以上にこの城は不穏な空気に満ちていた。まっすぐに王の下に向かうものだと思っていたのだが、勇者は謁見の間の前を素通りすると、塔を上がって行った。その抜け道の先にある王の寝室で道具を漁ってから謁見の間に降りてくると、出口を兵士が塞いでいる。
「見付かったら何をされるか……」
立ち止まって思案するカイを尻目に、ソルは先へ進んで兵士に話しかけた。
「むむっ!貴様、どのようにして上へ入り込んだ!さぁ、見逃してやるからサッサと出て行け!」
見逃してくれた。カイはドッと冷や汗を掻いて、平然と歩く勇者を追う。
「心臓に悪い行動をするのは止めてくれ…」
「大丈夫だ。殺られる前に殺る」
「…駄目勇者…だけど、頼りになるよ…」
「ククク、そうか」
いい噂を聞かない王様だが、セーブは取りたい。ソルは王に近付いた。すると、警戒心丸出しなのか、話しかける前に反応を返してきた。
「うぬらはどこから入ってきたのじゃ?怪しいヤツめ!この者らを牢にぶち込んでおけい!」
「ハッ!」
「さあ、来るんだっ!」
「え?そんな…話を…」
「聴く耳を持ってねェな。諦めろ」
「馬鹿っ!!!」
二人は王の近衛兵に連れられて、地下牢へ入れられてしまった。
「大人しくしているんだぞ!」
そう言うと、牢の門番は持ち場へと戻って行った。カイはそんな兵士達の行動に首を傾げた。
「もしかして、形式だけ…?武器も道具も取り上げないなんて…」
「さてと…自由行動だ。情報を集めるぞ」
「う、うん」
牢の鍵を開けられる最後の鍵を持っているのだ。楽々と脱獄すると、ソルはカイの制止を無視し、恐れる事無く背を向けて立っている門番に近付いた。
「私は眠っている。だからこれは私の寝言だ。確かに、最近の王はおかしい。だが、我々は王様には逆らえぬ。私はここから動けぬが、噂ではこの地下牢には抜け穴があるそうだな……」
「あぁ、任せておけ」
「…………ッ」
独白のような勇者のそれに、門番が肩を震わせた。ポンポンと軽くその肩を叩いてやり、ソルがその場を離れると、小さな嗚咽が聞こえた。相当悔しい思いをしているのだろう。男がそうして門番から情報を得ている間に、カイは他の囚人から真実の姿を映すラーの鏡が南の洞窟にあるという情報を手に入れていた。
「この話をした途端に牢に入れられてしまったんだって。怪しくないか?」
「クックック…あぁ、そうだな」
こんな風に楽しそうにしている時のこの男は危険である。カイは口を閉ざすと先を歩いて行く勇者の後を追った。階段を下りた先の牢には、老人が囚われていた。
「誰かそこにおるのか?わしはこの国の王じゃ。何者かがわしから変化の杖を奪い、わしに化けおった。おお、くちおしや…」
目が見えないでいる王の口から真実が告げられると、勇者が凄絶な笑みを浮かべた。
「ソル…一応勇者なのだから、獲物を見付けた賞金稼ぎみたいな顔をするのはやめて下さい」
「クックック、八つ裂き決定だ」
「はいはい、分かりましたよ。ラーの鏡を取りに行きましょうね」
抜け道を通って地下牢を脱出した先は、墓地だった。このまま南の洞窟に向かうのは自殺行為だ。まずは準備を整えなくてはならない。移動呪文を唱えて、アリアハンへと向かったのだった。


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コメントRES

パソの勉強も終了したし、新しい習い事を始めたいのです。
運動不足解消にスポーツを始めるか、日々の生活の為の実技を始めるか…それとも習い事に費やすよりも貯蓄に励むか…。
う~む、困る…

さて、拍手して下さった方、有り難うございました!
そして、コメントを有り難うございました!

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サマンオサへの道 Lv.?

どうも攻略順序を素っ飛ばし過ぎているらしい。軽い迷子に陥っている。
「えぇっと…次はどこに行けばいいんだろう?」
「サマンオサだ」
「サマンオサ…?どうやって行くんだ?」
「あ~…グリンラッドのジジイを覚えてるか?変化の杖が欲しいとかぬかしていたんだが…」
ソルが言葉を濁す。随分前の話だが、カイが粒の大きさの島を地図で見付け、興味を引かれて向かったルザミ。そこでガイアの剣の他にグリンラッドの変わり者の老人の情報を得たのだ。
「あぁ、うん。思い出した。確か、サマンオサの王様が変化の杖を持っているって教えてくれたお爺さんだ」
「その島から少し南に下がると、旅の扉の祠がある」
「………ソル、もしかして私達は迷子ですか?」
「んな訳あるか。行き先は分かってんだ。行く順番が違うだけだ」
それを迷子と言わず、何と言う。カイは小さく肩を竦めて地図を広げた。現在地はランシール。アフリカ大陸の南に位置する島である。向かう先はカナダの北。
「エジンベアに向かって、そこから船で西に向かおうか」
「あぁ、一直線だしな」
彼等が選んだルートはイギリスから真西に向かって、アメリカ大陸北部を目指すものだった。
そうしてやって来た祠には、東、北、西に旅の扉があり、東はロマリアの関所へ、北はオリビアの岬の宿屋へ、西はサマンオサ地方への祠へと繋がっていた。今現在、ロマリアには用はないので、東の扉はパス。まずは北の扉を潜ってオリビアの岬の宿屋に行ってみた。寄り道ではない。情報収集である。宿屋にいた吟遊詩人が詳しい事を教えてくれた。
「ここはオリビアの岬。嵐で死んだ恋人を思い、オリビアは身を投げました。しかし、死にきれぬのか、通りゆく船を呼び戻すそうです。もし、恋人エリックとの思い出の品でも捧げれば……オリビアの魂も天に召されましょうに。噂ではエリックの乗った船もまた幽霊船として船を彷徨っているそうな」
「傍迷惑な話だぜ」
「そんな事ないよ。私もソルが死んだらホルマリン漬けにして、観賞用にすると思う」
「恐ろしい事言うんじゃねェ!!!!」
「ふふ、冗談だよ」
真顔で言う冗談は、冗談に聞こえない。ソルは疲れた顔をしてオリビアの岬を後にすると、サマンオサの旅の扉を潜った。そこは祠の協会。神父が詳しい事を教えてくれた。
「噂ではサマンオサの王が人変わりしたらしい。勇者サイモンが右の旅の扉より追放されたのも、王の命令と聞く。サマンオサはこの祠の西。山添をぐるりと西に進まれるがよかろう」
右の旅人の扉はオリビアの岬の宿屋に繋がっており、オリビアの魂を浄化させない限り、サイモンが持っていたと言うガイアの剣を手に入れる事は出来ない。ガイアの剣が無ければ、ネクロゴンドの祠に辿り着けないのだ。つまり、たらい回し。
「あ~、あ~、あ~……」
「やる気が抜けるのは分かるけど……やる気を出して頑張ってくれ」
面倒事を嫌う傾向の男のやる気が急降下した。項垂れたままとぼとぼと歩き、祠を後にした。その瞬間、勇者が勢い良く頭を上げた。
「……へぇ、面白い」
殺気だ。ここのモンスターは強い。防御力の高いモンスター、攻撃力の高いモンスター、魔法力の高いモンスターがバランス良く集まって現れるのだ。油断は禁物である。
「…ソル…ッ」
カイもそれに気が付いたようだ。武器を握り締めて辺りを窺っている。
「坊やにはキツイ相手だな…暫くレベルを上げるか…」
「…すまない。外でこれだけの強さだから、洞窟に入ればこれ以上に強いのが出てくるな…」
「ククク、あぁ。退屈せずに済みそうだ」
項垂れていたのが嘘のように凶暴そうな笑みを閃かせる勇者に、賢者が竦み上がった。そんな頼もしい背中に付き従いながら、案外すんなりとネクロゴンドを攻略出来るかも知れないと、密かにカイは小さく笑った。


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地球のへそ Lv.25

勇者一行はランシールへやって来ると、森を抜けてまっすぐに神殿へと向かった。最後の鍵で扉を開けて先に進むと、神官が出迎えてくれた。
「良く来た、ソルよ!ここは勇気を試される神殿じゃ。たとえ一人でも闘う勇気がお前にはあるか?」
『はい』or『いいえ』
「いや、面倒事はごめんだ」
「なかなか、正直なやつ!立ち去るが良い」
「こらこらこら!何を言っているんだ!!一人でも戦場に立てるくせに!ここで頑張らなきゃ、いつ頑張るんだ!!!」
勇者のやる気のなさは今に始まった事ではない。だが、神官の余りの引き際の良さに、カイが慌てて間に入った。
「坊や、ここの裏技を知ってるか?」
ニヤリと笑う勇者に、カイは痛む頭を押さえた。
「……何も聞かなかった事にしてやるから、一人で行って来い。待っていてやるから」
「褒美は?」
「あげるよ。お前が泣いて喜ぶものをあげる。だから行って来い」
「……………」
カイの即答にソルが口を閉ざした。その疑いの眼差しに、カイは心外だとばかりにムッと眉根を寄せた。
「何だ、その目は?私が信じられないのか?」
「……いや…行って来る」
「うん、行ってらっしゃい」
勇者は再び神官に話しかけた。
「良く来た、ソルよ!ここは勇気を試される神殿じゃ。たとえ一人でも闘う勇気がお前にはあるか?」
『はい』or『いいえ』
「あぁ、任せろ」
「では、私について参れ!」
奥に歩いて行く神官を見送り、ソルはカイを振り返った。
「頑張って来いよ!」
満面の笑みで応援してくれる。ソルのヤル気が上がった。張り切って奥へ向かう。
「では、ゆけ!ソルよ!」
「クックック、ククククク……」
笑いながら歩いて行く勇者に不気味なものを感じつつ、神官はその背を見送ったのだった。
地球の中心にある事からその名が付けられた大洞窟、地球のへそ。ここでは冒険者達の勇気を試す過酷な試練が待っている。のだが、勇者は嬉々として洞窟の先を目指して歩いて行く。たった一人でも余裕の勇者は難無く地下三階に辿り着き、最深部目指して黙々と歩いた。すると、壁の銅像が突然目を光らせたと思うと、言葉を発した。
「引き返せ!引き返した方がいいぞ!引き返せ!」
前を通る度に忠告らしい事を吐かれ、
「うるせェ、黙ってろ!極上の褒美が待ってんだ!!それ以上のもんを寄越す気がねェくせに、ゴチャゴチャ言うんじゃねェ!!!」
銅像を叩き壊し、勇者が吼えた。洞窟内に響くその怒声に恐れ戦いたのか、魔物達の気配が遠ざかって行った。勇者、恐るべし。
最深部で見付けた宝箱にはブルーオーブが入っていた。ソルはブルーオーブを手に入れた。つまらなそうに鼻を鳴らしてオーブを道具袋の中に詰め込むと、迷宮脱出の呪文を唱えて洞窟の入り口まで戻り、急いでランシールに戻る。神殿に戻ると、カイと神官が出迎えてくれた。
「心配したぞ。でも、無事で良かった」
「これこれ、仲間内で騒がぬように。ともかく……よくぞ無事で戻った!どうだ?一人で淋しくはなかったか?」
『はい』or『いいえ』
「あぁ、別に…。一人で動く方が楽だからな」
「なるほど、根っからの一匹狼と言うわけか。野暮な事を聞いてすまなかった。では、お前は勇敢だったか?いや…それはお前が一番良く知っているだろう。さあ、ゆくがよい」
即座に踵を返して歩き出す勇者に、カイは慌てて神官に頭を下げると、その場を後にした。神殿の扉を潜り、森に差し掛かった所で勇者が足を止めた。
「…」
「ソル、どうかした……」
カイは言葉を言い切る事が出来なかった。ソルに腕を掴まれたと思うと同時に引き寄せられたのだ。その際、ソルは巧みに立ち位置を入れ替え、カイの逃げ道を木で塞いだ。
「!ソ、ソル……ッ!!」
抗議の言葉も男の唇に塞がれてしまい、カイは必死にソルの腕の中でもがいた。暴れるカイを押さえ付けながら、ソルは唇を離して言った。
「暴れんな、褒美をくれるんだろうが」
「は、放せ!あげるから!!」
「?今貰ってんじゃねェか」
「……ッ!馬鹿ッ!!変態ッ!!!早く放せ、駄目勇者!!!!」
余りの言われようにソルは口を曲げたが、カイの言う褒美に興味を引かれた。そっと手を離すと、脱兎の如く腕の中を逃げ出し、安全圏まで遠ざかった。そんな姿に笑みを誘われつつ尋ねた。
「俺が泣いて喜ぶ褒美だって言ったな?何だ?」
「ふふ、そうだよ。はい、ご褒美」
微笑みながらカイがソルに袋を手渡した。
「………何だ、これは…?」
「何って、消え去り草だよ。前に道具屋で有りっ丈欲しいって言っていたじゃないか。さすがに買い占める訳にはいかないけれど、少しくらいなら買ってあげられるから」
カイの説明に、ソルは暫し沈黙した。消え去り草を見つめたまま動かなくなった男に、カイが怪訝そうに首を傾げた。
「ク……クク、ククククク、クックックック……」
ソルが肩を揺らして笑いだした。
「馬鹿がッ!!こんなもんの為に、わざわざオーブを取りに行った訳じゃねェぞ!!!」
「ば、馬鹿とは何だ!貴重な路銀を使って買ったんだぞ!!」
「ふざけんなッ!こんなもんより、テメェの身体を差し出しやがれ!!続きをヤらせろ!!!」
「馬鹿―――――ッ!!!そもそも、見返りを求める勇者があるかッ!!!そこに直れ、駄目勇者!!その曲がった根性を叩き直してやる!!!」
怒り心頭に発したカイの、会心の覚醒必殺技。閃光と共に雷鳴が轟いた。突然の落雷に驚いた村人が様子を見に行った森の奥で、焦げた勇者が発見されたとか、されなかったとか。
勇者と賢者の旅はまだまだ続く。


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心臓が凍り付くかと思った

昨日から身内が入院し、本日手術をしました。
無事に終わったのですが、ヒヤリとする出来事もあって、タイトル通り、一時心臓が凍り付く思いをしました。
小説などの言い回しで好んで使う言葉の一つですが、実際に体験をしたくないですな(笑)
ホントにビックリすると、言葉なんて出てこないのです。言葉どころか、頭の中が真っ白です。未熟者ゆえ、これを表現する言葉が見付からない。えぇ、いい体験が出来ました。


さて、コメントを頂いて有り難うございます。
でも先に私信。
ちゃんと覚えているぞ、失敬な(笑)
今日は上記の事があってメール出来なかったけれど…愛しているぞ。
おめでとうさん、君と同じ時に生れて、巡り会えた幸運に感謝しています。
急がなくてはならなかった訳を理解してくれると嬉しいです…。

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コメントRES

ドライン:殺界、何とか出せるようになりました!有り難うございます!!
……トレーニングで…。
ある程度の確率で、タイランレイブまで繋げる事が出来るようになりました!!
……動かない相手で…。
対戦するとね……
射程距離短!!!!一発目が届きません!!!
頼むから防御しないで!!!!
一回も繋がらなかった!!!!!(血涙)

焦るんですよ。
一発入ったら後は落ち着いて繋げれば良いだけなのに、焦るんですよね…。
まぁ慣れれば……何回かに一回くらいは成功するでしょう…
地道に頑張るしかないです;;


さて、拍手して下さった方、有り難うございました。
元気の源です。
そして、コメントを頂いて有り難うございました。

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ジパング Lv.24

八岐大蛇(ヤマタノオロチ)が逃げ込んだ先は見覚えのある場所だった。
「ヒミコさまっ!今すぐ傷のお手当をっ!」
悲鳴が上がるそこは、ヒミコの屋敷だった。
「それにしても、ヒミコさまは一体どこでこんなお怪我をなさったのやら……」
女王の謁見の間で、付き人が慌てて走り回っていた。今は深夜なのか、寝間着で走り回っている。ヒミコに視線を向けると、深手を負って倒れている。困惑するカイを連れて女王に歩み寄ると、勇者は無言のまま金色に底光りする眼で射抜いた。すると、ヒミコは声を出さず、頭の中に直接話しかけてきた。
「わらわの本当の姿を見たものは、そなた達だけじゃ。黙って大人しくしている限り、そなたを殺しはせぬ。それでよいな?」
『はい』or『いいえ』
「坊やの魔法力は半分切ってるか……際どいが、運が良ければぶちのめせるな」
勇者の独白を、賢者は耳聡く聴いていた。雷の杖を握り締め、化け物を睨み付けた。激しい焔を二回続けて吐かれると回復が間に合わないのだが、これも即ち運任せ。神頼みだ。だが、アリアハンを出てから、かれこれどのくらいの月日が流れただろうか。最初から、彼等の運はこれでもかと言うほど、悪い。最悪なほど、神に見放されているのだ。
「クックックック、クククククク……クハハハハハハハッ!!!!」
とうとう勇者と賢者の魔法力が尽きた。焔に巻かれながら、ソルが笑い出した。それを見兼ねたカイが声を張り上げる。
「ソルッ、根性で会心の一撃を出せ!!運が良ければ、勝てるから!!」
結果。運が悪かった。
何度でも挑戦!今度は明るい内に屋敷にやって来た。瀕死のヒミコが再び頭の中に直接話しかけてきた。
「わらわの本当の姿を見たものは、そなた達だけじゃ。黙って大人しくしている限り、そなたを殺しはせぬ。それでよいな?」
『はい』or『いいえ』
気色ばって反論しようとしたカイを下がらせ、ソルがニヤリと笑った。その笑みにゾッと寒気を覚えたカイは、黙って口を閉じて男の出方を待った。
「クックック…あぁ、いいぜ」
「ほほほ……。よい心掛けじゃ」
喉の奥で笑う勇者の凶暴な気配に気付かないのか、ヒミコが笑った。
「テメェみてェなザコが、今の俺を殺せると思い込んでるのが憐れだがな」
ボス相手に何と言う事を言うのか。カイが飛び上がって驚いた。一度手酷い負けを喫している相手なのだ。
「ほほほ、そうかえ。ならば、生きては帰さぬ!食い殺してくれるわ!」
ヒミコが正体を現し、八岐大蛇の姿になった。屋敷詰めの使用人達が蜘蛛の子を散らしたように逃げ出す中で、ソルは肩を揺らせて笑いながら大きな大蛇を見上げた。
「ククククク、クックックック、上等だ!!掛かって来やがれ、ザコが!!!」
「馬鹿―――――ッ!初めてのまともなボスだぞ!!ザコな訳があるかぁ!!!怒らせてどうする!!!!」
「今更ゴチャゴチャぬかすな!覚悟を決めろ!!」
「駄目勇者ッ!!!!」
怒鳴り散らしながらも、二人の息はピッタリである。生き返らせてもらったカイの体力、魔法力はともに全快している。賢者が防御力増強を重ね掛けしている間に、勇者は武器を草薙の剣に持ち替えて八岐大蛇に斬りかかって行った。
相変わらず焔を二回吐いてくるのは厄介だが、それ以外に怖いものはない。焔を撒き散らす八岐大蛇に嬉々として真っ向から勝負を挑む勇者の姿に見惚れつつ、カイは全力で男のサポートに当たった。どんな化け物が相手でも、ソルとなら負ける気はしない。今にも逃げ出したいと思うほどの恐怖にも勝てるのだ。
「ザコがッ!俺の手を煩わせた事を、あの世で泣いて後悔しやがれッ!!!!」
ソルの攻撃。会心の一撃。八岐大蛇をやっつけた。
なんと!ヒミコは大蛇だった!その噂は瞬く間に国中に広まって行った。そして夜が明けた。
謁見の間でパープルオーブを手に入れると、ソルとカイの二人は生贄にされて、地下倉庫に逃げ込んでいた娘に会いに行った。
「こうして生きていけるのはあなた様のおかげ。有り難うございました」
「有り難うございました。おかげで幸せに暮らせます」
縄を緩めた青年と二人寄り添って、幸せそうに笑うやよいにつられて、カイも顔を綻ばせた。
「どうぞお幸せに」
「行くぞ」
感謝されたくて助けている訳ではないと、ソルが踵を返して歩き出した。その後を慌てて追いかけ、カイが嬉しそうに笑った。
「ソル、皆がああして笑ってくれるのが凄く嬉しいよ」
「どうでもいい相手に笑い掛けられても嬉しくねェ」
「酷い言い草だな。じゃあ誰に……って、私??」
ジッと勇者に視線を投げられ、カイは目を丸くした。
「褒美は?」
「……勇者は人助けをしながら…」
「分かったから、ヤらせろ」
「馬鹿―――――ッ!そんな暇があったら先に進むぞ!!ほら、早く!!!」
勇者の後ろ髪を引っ張り、賢者が肩を怒らせて歩き出した。次はランシール。森の奥の神殿の先に続く、地球のへそと呼ばれる洞窟だ。


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コメントRES

RES不要との事でしたが、お礼も兼ねて…

まずは、皆様に報告。
騎士まで辿り着く事に成功しました!有り難うございました!
凄いカッコいいです!!有り難うございました!!
騎士、大好きです!!!

ところが…
ドライン:殺界を食らう前に敗退…;;
出す必要も無いって事か!!コンチクショ――――ッ!!!(涙)

ボコ殴りです。手加減出来るほどお人好しじゃないとか自分で言ってましたけど、あそこまで殴らなくてもいいじゃないか……ッ!!!(泣)
騎士のあの姿を見る日は遠い……

さて、チャッチャとコメントRESに行きましょう!

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ジパングの洞窟 Lv.24

燃え盛る溶岩があちこちから溢れる、恐ろしい洞窟だ。その奥には、ジパングの村人を震え上がらせる魔物が住んでいる。怖いモンスターがいる訳でもなく、すんなりと洞窟を進んでいく勇者一行。地下一階で元盗賊の賢者が宝箱を見付けた。
「凄いぞ、ソル!防御力が凄く高い!!これならどんな攻撃にも耐えられるぞ!!」
「冗談は寝て言え!どこからどう見ても、呪われてんじゃねェか!!」
「ソルならきっと大丈夫だよ!」
「ふざけんなッ!!!」
勇者が怒るのも無理はない。賢者が見付けたのは般若の面だったのだ。恐ろしい顔の面で、驚異的な守備力を誇るが、装備しただけで混乱状態になってしまう呪われた防具である。渋々道具袋にしまい、カイは先を歩く勇者の後を追った。
地下二階に下りて来ると、地響きのような唸り声が奥から聞こえてきた。この奥に大蛇がいるのだろう。まっすぐ先に進むと、少し開けた空間に出た。良く見ると、人骨が辺りに散らばっている。どうやらこれが生贄の祭壇らしい。
「どうした、坊や。怖気付いたか?」
祭壇を睨み付けたまま動きを止めたカイに、ソルが意地の悪い笑みを浮かべて言った。
「そんな訳があるか。必ず倒すぞ。この人達の無念を晴らさなければ…ッ!」
「あぁ、そうだな」
生贄にされたのは若い娘達である。彼女達の変わり果てた姿に、カイの殺気が膨らんだ。温厚に見える彼だが、実はソルよりも気性が激しいのだ。物事を、良くも悪くも純粋に受け止める為だ。口元に凶暴な笑みを浮かべ、ソルは真紅の眼を洞窟の奥へ向けた。奥に進むと、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)が真っ赤な口を開けて待ち受けている。そんな恐ろしい魔物に臆する事無く、二人は正面から立ち向かって行った。右隣を駆ける青年に一瞥を投げ、ソルは声を張り上げた。
「カイッ!余力を残しておけよ!!」
「え……ええ??どうして!?ここで叩き伏せる!!!」
「先に言うぞ!連戦になる!!二戦目に備えておけ!!」
「……は…はいッ!!」
そんな重要な事をこの土壇場で告げる勇者のおかげで、カイの熱かった頭が冷えた。そうして冷静に戦況を見つめ、的確に勇者のサポートに回り、八岐大蛇を倒す事が出来た。
八岐大蛇は宝箱を落として行った!ソル達は宝箱を開けた!なんと、草薙の剣を見付けた!ソルは草薙の剣を手に入れた!
深手を負った八岐大蛇は背後に出現したワープゾーンから逃げて行った。体力と魔法力を回復させて、八岐大蛇が消えたワープゾーンを通って後を追ったのだった。


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ジパング Lv.24

以前、ムオルの村に行く途中で登録しておいたおかげで、すんなりとジパングまで飛んできた勇者一行は、例に漏れず村人を無視して一直線に女王ヒミコの下まで向かった。
「なんじゃ、お前は?」
『はい』or『いいえ』
「答えになってねェんだがな…」
ご尤も。
「答えずともよいわ!そのようないでたち。大方この国の噂を聞き、外国からやって来たのであろう。愚かな事よ。わらわは外人を好まぬ。早々に立ち去るのじゃ」
「……見てくれは女だろうが、容赦は…おぁ!」
売られた喧嘩は買う。そんな勇者の行動にすっかり慣れているカイは、目の前に垂れている後ろ髪を思いっきり引っ張って男を下がらせると、深々と頭を下げた。
「失礼致しました。では……」
「よいな!くれぐれもいらぬ事をせぬが身の為じゃぞ」
振り向きざまに念を押す女王に一瞥を投げ、二人は踵を返して歩き出した。全てを凍て付かせる様な勇者の眼差しを受けても態度を崩さなかった女王を怪訝に思いつつ、カイは後ろ髪を引っ張って部屋を出た。
「痛ェ、痛ェ、引っ張るな」
「……気になるなぁ」
今まで勇者が愚王に黙って向けた視線には、誰もが震え上がっていた。日頃、馬鹿げた行為が目立つ勇者だが、締める所はキッチリと締める。だからだろう。カイが女王に疑問を抱いたのは。
「分かったから放せ」
「うん、情報を集めようか」
会話がかみ合っていない。が、カイはそんな事を気にするような男ではない。ウンザリとする勇者を放って、情報を集めだした。人を見つけては聞き込みに行くカイを見送り、煙草に手を伸ばしていたソルは、屋敷の陰で挙動不審な青年を見付けた。煙草を懐に戻し、気配を完全に消して近付く。
「やよいは逃げてくれただろうか…。祭壇に縛り付ける縄を緩めておいたのだが…」
東の空を見上げて落ち着きが無い。何やら訳有りのようだが、今の青年は心ここに在らずの状態だ。そのままそっとしておき、気配を消したまま村の西側に位置する地下倉庫へ向かった。
「とりあえず…」
並べられている壺の中を片っ端から調べていく。そうして道具を集めつつ、一番奥に置かれている壺を覗き込んだ。なんと!人の頭が見える!スッと身を引くと、女が壺から顔を出した。
「お願いでございます!どうかお見逃しを!せめてもうひと時、生まれ育った故郷に別れを告げさせて下さいませ」
生贄にされた娘だろう。先程の青年がわざわざ逃がしてくれているのにも関わらず、危険を顧みずに村に戻って来たようだ。だが、そのまま逃げろと言われても、外は魔物がうろついている。ある意味、賢明な判断だとも言える。
「…」
ソルは暫し無言で怯える娘を見ていたが、
「きゃ!?」
娘の頭を押さえ付けて壺の中に戻した。
「黙ってろ」
上から誰かが降りてくる。赤茶の目がスッと細められた。そんな男の只ならぬ気配に怯え、娘が壺の中で震えている。
「こんな所にいたのか、捜したぞ」
カイだった。ビクッと中で娘が震えるのがその気配で分かる。ソルは苦笑を零し、手で合図して彼をこちらに呼んだ。
「迷子になったのかと思ったぞ」
「馬鹿言え」
「……どうした?」
男の行動に疑問を感じたカイが何かに気付き、声を落として短く尋ねた。そんな聡明な彼の頬をそっと撫でて、立ち位置を少し移動し、壺の中を見るように促す。
「?」
意味も分からず、カイは壺を覗き込んだ。壺の中の娘は当然彼が誰か知らない。可哀想なほどに怯え、ガタガタと震えている。カイはこの娘が誰かを悟った。
「もしかして…やよいさんですか?」
「は、はい…。どうか、どうかお見逃しを。お願いでございます」
「怖がらないで下さい。大丈夫です、必ず助けます」
怯える娘に優しく語り掛ける姿は正しく勇者。の供の賢者である。泣きじゃくる娘をカイに任せ、勇者は一人離れて懐の煙草に手を伸ばす。どうにか娘を落ち着かせたカイが近付いて来ると、
「情報は?」
短く尋ねた。
「うん、ある程度繋がったよ。この村は大蛇(オロチ)と言う化け物に生贄を捧げて、その怒りを鎮めているんだ。生贄を選んでいるのが、それを勧めたヒミコ女王。最近になって、神通力を手に入れたとか何とか…。それから、女王はオーブも持っているみたいだよ。あの様子じゃ譲ってはくれないだろうけれど…」
「……相変わらず鈍いな、お前は…」
「何?ソルは何か気が付いたのか??」
「ククク、さぁな。確証はねェ」
意味深な笑みを浮かべる勇者に怪訝な眼差しを投げたが、男がそれ以上口を開く事はなかった。確たる証拠がないのに口に出すのは愚の骨頂。賢者はそれ以上の詮索をしなかった。
「東に洞窟があるんだ。そこに大蛇が住んでいるみたいだよ」
行き先が決まった。一瞬ニヤリと凶暴そうな笑みを浮かべた勇者の後を追い、カイは気を引き締めた。洞窟の奥にはボスが待っている。


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コメントRES

ゲーム日記を書いてる内に気絶する事が多いので、やはりカテゴリーを追加しました。

コメントを有り難うございました。
RESはこの下からどうぞ。

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アープの塔 Lv.23

ムオルの村から海を越え、東にある大陸に突き当たった辺りにそびえる、アープの塔。勇者一行はスーの村でこの塔内に山彦の笛があるという情報を得てやって来たのである。階段の多い塔だが、難無く最上階までやって来た。だが、目当ての山彦の笛が見当たらない。
「ソル…前にもこんな事があったような気がするのですが…?」
「あぁ、悟りの書の時だろ。同じだ」
三階以上は僅かな外壁を残して、空洞になっているのである。三階にある宝箱に辿り着くには、上階から飛び降りねばならないのだ。
「また飛び降りるのですか?…もしかして、このロープのどこかから?」
カイが下を覗き込んだ。吹き抜けになっているそこは、かなりの高さがあるのだろう。真っ暗で何も見えない。
「こっちだ、付いて来い」
「は、はい」
平然とロープの上を歩いて行く男の後に付いて行き、カイはふとアクセルの事を思った。彼はソルの言葉を疑いもしなかったのだ。
「ここだ。…おい、どうした?」
「え?あ…いえ、何でもありません」
アクセルと別れてからカイの様子がおかしい。ソルは器用にロープの上で振り返ると、そっと彼の頬に触れた。
「飛ぶのが怖いのか?」
「いいえ」
「俺を信用出来ねェか?」
「…いいえ」
その少しの間に、ソルはやれやれと肩を竦めた。
「飛ぶぞ、付いて来い」
「はい」
ソルが先に空中に身を躍らせて階下へ飛ぶと、カイは素直にそれに付いて来る。腑に落ちないが、まずは道具を取って塔を出る事が先決だ。宝箱を全て手に入れ、ソルは迷宮脱出の呪文を唱えて青空の下に出ると、すぐに尋ねた。
「アクセルの野郎の事が、そんなに気に入らねェのか?」
町を作る為に、一人の老人と共に草原に置いてきたのだ。カイはアクセルの事が気になっているのである。
「気に入らないとか…そういう事ではありません…」
「まどろっこしいのはやめろ。何が言いたい?」
直球の問いに、カイは口を噤んだ。どう言うべきか。暫し考え、口を開いた。
「もし、自分の立場だったらどうしますか?あんな風にすぐに納得出来ますか?」
「なるほど…。坊やは自分だったら納得出来ねェって言いたいのか」
「………」
カイが黙り込んでしまった。図星だ。ソルはやれやれと肩を竦めた。
「荒れた土地だが、条件は悪くねェ。入り組んだ水路の先のスーの村より、交易し易い場所だからな」
「だからと言って……あんまりな仕打ちです」
「なら、坊やを商人にして置いて来た方が良かったか?」
「!」
「普通に考えて、一緒に連れて行く方が酷ェだろ。町を作ってる方が安全だからな」
ソルの言葉に、カイが息を呑んだ。その通りだ。これはたった二人で魔王を倒す為の旅なのだ。勇者と行動を共にする方が危険である。
「あいつの役目は町を作る事だ。それが後々、旅に重要な意味を持つ事になるんだ」
「………」
この説明にカイが再び黙り込み、まだ何か気に入らないのかと、ソルは眉間に皴を寄せた。
「少しでも、私を置いて行こうと思いましたか?」
「思ったら置いて来てる。坊やが嫌なら今からでも交代させるぜ」
「いいえ、嫌じゃありません」
この即答に、ソルは目を細めた。ようやく勇者の行動を理解し、納得したようだ。
「あなたを信頼していない訳ではないのですが…私はアクセルさんの様に何の説明も無く、納得なんて出来なかっただけです」
「……言葉が足りてねェのは自覚してるが、説明が難しいんだ…」
「説明が『面倒臭い』の間違いだろう?」
「…」
茶目っ気たっぷりに笑う賢者の様子が、普段通りに戻った。
適材適所。明るく愛想のいいアクセルは商売上手だ。彼なら立派な町を作れるだろう。一方、カイは戦闘においてソルの行動を誰よりも先に読み、呼吸を合わせて動ける賢者だ。堅実な彼の護りがあるからこそ、ソルは多少無茶な行動が取れるのである。ソルは穏やかに目を細めて笑うと、そっと彼の額にキスを落とした。
「…ッ!」
「シッカリ背中を護れよ、坊や」
「は、はいッ」
「ククク、行くぞ。次はジパングだ」
船に向かう勇者の後を追いながら、カイは嬉しそうに笑った。


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体力回復

棚卸しの翌日、つまり昨日。
歓迎会があり、二次会があり、ちと睡眠不足でした。
で、今日。土曜当番で仕事でした…。
非常に眠いです…;;

さて、ACを少しずつ触っているのですが、難易度が高くなっていませんか?
ドラクエⅢをやってる人間には非常に難しいです。
腕が落ちたとか言うほど強くないので、…寧ろ、弱いので…中ボス扱いの旦さんと嫁さんを倒すのに一苦労です;;主人公キャラなので普通に強いのが当たり前なのですが、下手の横好きからしてみれば非常に困る強さです。
で、何故かイノが弱いのでは…??や、弱くはないと思うのですよ。攻撃パターンがそれほど変わっていないから、ある程度対処出来るだけで。
いくつかのサイト様でも同じ様な事が書かれていたので、実際イノよりも彼らの方が強いのでしょう。
その後にいるはずの騎士に辿り着けませんが…;;何か条件があるのでしょうが、知っている方、良ければ教えて下さい。相変わらず、他力本願全開ですが…(笑)
まだ数回しかやっていないのですが、難易度が高いのと叩き付けみたいな動きがある為か、普通に技が繋がりません……自信満々に書く事でもないのですけどね…寧ろ、書く事ではないだろうに…;;
まぁ、ここまで下手だよと言う事を書いていたら、必死になって頑張っているのだと分かって頂けるかと(笑)
特にカイ。なんちゃってカイ使いだと思っていたのですが、一番重要な技が変わってしまったので、やっぱりかなり使い難かったです。仕方ないので、リーチの長い封雷剣でザクザクと斬ってます…;;で、同じくソルもブリンガーが使い難くなってるので、仕方なく蹴り倒すしかないという…;;…読まずに食べたから、仕方なく手紙を書いた。みたいな感じですな…ちょっと違う?(笑)

さて、ゲーム日記が飛んでばかりで申し訳ないです…。
4ヶ月目に差し掛かるのではないかと…;;(遅!)
…まぁ、流が書いているのだから、すんなり進む事はないだろうと思っていましたが、もう少し早く進んで行こう……下手したら、年内に終わらない(笑)

拍手して下さった方、有り難うございましたvv
何も更新せず、日記も飛び飛びなこんなサイトを見て頂いて、感謝しております。
頑張らねばッ!!

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